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相続を「争続」にしないために|不動産相続で家族が揉める原因と7つの対策【長野県】

不動産売却について

専務取締役 福井 庸介

筆者 専務取締役 福井 庸介

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公開日:2026年7月28日

相続を「争続」にしないために
不動産相続で家族が揉める原因と7つの対策

相続は、家族の財産を次の世代へ引き継ぐ大切な手続です。 しかし、実家や土地の分け方をきっかけに意見が対立し、 家族関係まで悪化してしまうことがあります。

このような相続をめぐる争いは、俗に 「争続」や「争族」と呼ばれています。

特に注意したいのが、預貯金のように簡単には分けられない 不動産を含む相続です。 相続が発生してから慌てるのではなく、元気なうちに財産と家族の希望を 整理しておくことが、争続を防ぐ第一歩になります。

なぜ不動産相続は「争続」になりやすいのか

現金は一定の割合で分けられますが、実家や土地は同じようには分けられません。 相続財産の大部分が不動産の場合、誰が取得するのか、 どの価格で評価するのか、売却するのか残すのかという問題が生じます。

分けにくい財産 実家・土地・貸家など
家族の感情 介護・生前援助・思い入れ
情報不足 財産額・名義・借入れが不明
話合いがまとまらず「争続」へ

「長男が実家を継ぐべき」「介護をした人が多く受け取るべき」 「誰も住まないので売却したい」など、家族それぞれの考え方が異なることもあります。

財産が多い家庭だけが揉めるわけではありません。
相続財産が実家1軒だけの場合でも、取得する人と取得しない人の間で 公平な調整ができず、争いになる可能性があります。

相続で家族が揉める主な5つの原因

1.相続財産の内容が家族に共有されていない

預貯金、不動産、生命保険、借入金などの内容を、 家族がまったく把握していないケースがあります。

相続が発生してから財産を調べ始めると、 過去の預金移動や生前贈与について疑問が生じ、 「誰かが財産を隠しているのではないか」という不信感につながることがあります。

2.不動産の価格について意見が一致しない

不動産には、固定資産税評価額、相続税評価額、査定価格、 実際の成約価格など、目的の異なる複数の価格があります。

実家を相続する人は低い価格で評価したい一方、 取得しない人は高い価格で評価してほしいと考えることもあり、 不動産価格が争いの原因になる場合があります。

3.介護や生前援助に対する認識が違う

親の介護を担当していた相続人は、 「自分が多く相続するのが公平」と考えることがあります。

一方で、ほかの相続人は介護の実態を把握していなかったり、 住宅購入資金や学費などの生前援助について異なる認識を持っていたりします。

こうした事情を相続開始後に初めて話し合うと、 過去の不満まで持ち出され、話合いが感情的になりやすくなります。

4.とりあえず共有名義にしてしまう

公平に分けるため、兄弟姉妹で実家を共有名義にすることがあります。 共有名義自体が直ちに問題になるわけではありません。

しかし、将来売却したい人と残したい人に意見が分かれた場合や、 固定資産税、修繕費、草刈り、除雪などの負担が偏った場合には、 新たなトラブルにつながる可能性があります。

さらに共有者が亡くなると、その持分が次の相続人へ引き継がれ、 関係者が増えて話合いが複雑になることもあります。

5.遺言書の内容や作成理由が伝わっていない

遺言書があっても、極端に偏った内容や理由の分からない内容であれば、 相続人が納得できず、かえって争いにつながることがあります。

遺言書を作成する場合は、法的に有効な形式を守るだけでなく、 遺留分への配慮や、なぜその分け方を選んだのかという説明も重要です。

相続を「争続」にしないための7つの対策

対策1.財産と負債を一覧にする

まずは、所有している財産と負債を書き出します。 財産の金額を細かく確定できなくても、何がどこにあるのかを 家族が確認できる状態にしておくことが重要です。

整理しておきたい主な項目
  • 預貯金・証券・生命保険
  • 土地・建物・貸家・農地・山林
  • 住宅ローン・借入金・保証債務
  • 不動産の権利証や登記識別情報
  • 固定資産税の納税通知書
  • 賃貸借契約や土地の貸し借り

対策2.不動産の名義と現状を確認する

固定資産税を支払っている人と、登記上の所有者が同じとは限りません。 先代や祖父母名義のままになっている不動産もあります。

登記事項証明書や固定資産税関係書類を確認し、 所在地、地番、名義人、抵当権の有無などを整理しておきましょう。

土地については、境界、接道、越境、未登記建物などの問題がないかも 確認しておくと、将来の売却や分割を進めやすくなります。

対策3.不動産の市場価格を確認する

不動産を公平に分けるためには、現在どの程度で売却できるのかを 把握しておく必要があります。

固定資産税評価額だけで判断せず、不動産会社の査定を利用して、 実際の市場価格を確認しましょう。

古い建物や空き家の場合は、売却価格だけでなく、 残置物処分費、解体費、測量費、境界確定費、修繕費なども考慮する必要があります。

対策4.家族の希望を早めに共有する

誰が実家に住みたいのか、誰も住まないのか、 売却するのか、賃貸するのかを家族で話し合います。

結論を急ぐ必要はありませんが、それぞれの希望を把握しておくだけでも、 相続発生後の話合いを進めやすくなります。

STEP 1 財産を把握
STEP 2 不動産を査定
STEP 3 家族で共有
STEP 4 遺言等を整備

対策5.不動産の分け方を具体的に考える

不動産の遺産分割には、主に次のような方法があります。 家族構成や預貯金額によって、適切な方法は異なります。

分け方 内容 主な注意点
現物分割 実家は長男、預貯金は次男など、財産ごとに分ける方法 財産価値に差があると公平な調整が難しい
代償分割 不動産を取得した人が、ほかの相続人へ代償金を支払う方法 不動産を取得する人に資金力が必要
換価分割 不動産を売却し、売却代金を分ける方法 売却価格、諸費用、売却時期の合意が必要
共有 複数の相続人が持分を取得する方法 将来の売却・管理で意見が分かれる可能性がある

対策6.遺言書を正しい方法で作成する

遺言書は、誰にどの財産を引き継がせたいのかを明確にする方法です。 特に不動産が多い場合、子どもが複数いる場合、再婚している場合、 相続人以外へ財産を渡したい場合には、作成を検討する価値があります。

遺言書の種類 特徴 注意点
自筆証書遺言 本人が一定の方式に従って作成する 方式不備、紛失、発見されないリスクがある
法務局保管制度 自筆証書遺言を法務局で保管する 内容の有効性まで保証される制度ではない
公正証書遺言 公証人が関与し、公正証書として作成する 必要書類と作成費用が必要

法務局で保管された自筆証書遺言と公正証書遺言は、 相続開始後の家庭裁判所による検認が不要です。

ただし、遺言書があれば必ず争いを防げるわけではありません。 財産の分け方、遺留分、遺言執行者の指定などについて、 必要に応じて弁護士、司法書士、公証人などへ相談してください。

対策7.不動産・法律・税務を分けて専門家へ相談する

相続対策には、不動産価格だけでなく、登記、遺産分割、遺言、 相続税など複数の分野が関係します。

  • 不動産の査定・売却・活用:不動産会社
  • 相続登記:司法書士
  • 相続争い・遺産分割交渉:弁護士
  • 相続税の計算・申告:税理士
  • 公正証書遺言の作成:公証役場

一つの専門家だけですべてを判断せず、 問題の内容に応じて適切な専門家へ相談することが重要です。

相続発生後に注意したい4つの期限

相続に関する手続には、それぞれ異なる期限があります。 家族の話合いが終わっていなくても、期限が進んでいる場合があるため注意が必要です。

相続放棄 原則3か月 自己のために相続開始があったことを知った時から
相続税申告 原則10か月 申告が必要な場合。死亡を知った日の翌日から
相続登記 原則3年 不動産を相続で取得したことを知った日から
遺産分割 10年に注意 特別受益・寄与分を主張できなくなる場合がある

相続登記は2024年4月1日から義務化

相続によって不動産を取得したことを知った日から、 原則として3年以内に相続登記を申請する必要があります。 正当な理由なく申請しなかった場合は、 10万円以下の過料の対象となる可能性があります。

2024年4月1日より前に発生した相続も対象です。 同日より前から不動産を相続したことを知っていた場合は、 原則として2027年3月31日までに対応する必要があります。

遺産分割が決まらない場合の相続人申告登記

3年以内に遺産分割がまとまらない場合は、 「相続人申告登記」を利用して、相続登記の基本的な申請義務を 履行できる場合があります。

相続人申告登記は、通常の相続登記の代わりではありません。
申出をした相続人について義務を履行したものとみなす制度であり、 不動産を売却したり、取得者を確定したりする登記ではありません。 遺産分割成立後は、その内容に基づく登記が別途必要です。

相続開始から10年を超える場合の注意点

相続開始から10年を経過した後の遺産分割では、 一定の例外を除き、生前贈与などの特別受益や、 介護などに関する寄与分を反映した具体的相続分ではなく、 原則として法定相続分または遺言で指定された相続分を基準に 分割することになります。

遺産分割そのものが一律にできなくなるわけではありませんが、 長期間放置するほど、相続人の増加や資料の散逸によって 解決が難しくなる可能性があります。

生前に確認しておきたいチェックリスト

  • 所有している土地・建物を家族が把握している
  • 登記上の名義人を確認している
  • 預貯金・保険・借入金を一覧にしている
  • 不動産の現在の査定価格を確認している
  • 実家を使用したい相続人がいるか確認している
  • 売却・保有・賃貸の希望を話し合っている
  • 共有名義にする場合の管理方法を考えている
  • 遺言書の必要性を検討している
  • 遺言書を作成した理由を家族へ伝えている
  • 相談する専門家を決めている

よくあるご質問

Q.財産が少なければ、相続で揉めませんか?

財産額が少なくても揉める可能性はあります。 特に相続財産の大部分が実家だけの場合は、 取得する人と取得しない人との間で金額調整が必要になります。

Q.遺言書があれば絶対に安心ですか?

遺言書は重要な対策ですが、すべての争いを防げるわけではありません。 形式不備、遺留分、遺言能力、財産の特定方法などが問題になる場合があります。 内容に不安がある場合は専門家へ相談してください。

Q.実家を売るか残すか決められません。

建物の状態、維持費、固定資産税、利用予定、 売却した場合の価格を整理しましょう。 感情だけでなく、将来必要になる費用も含めて比較することが重要です。

Q.生前に不動産査定を依頼してもよいですか?

生前でも査定できます。 現在の市場価格を把握しておくことで、 代償分割が可能か、売却して現金化するべきかなどを検討しやすくなります。

Q.相続人同士で話合いがまとまらない場合はどうなりますか?

相続人間で遺産分割協議がまとまらない場合は、 家庭裁判所の遺産分割調停または審判を利用することができます。 争いが深刻になる前に、弁護士などへの相談をご検討ください。

まとめ|相続対策は「財産」と「気持ち」の両方を整理する

相続を争続にしないためには、単に遺言書を作成するだけでなく、 所有している財産、不動産の価値、家族の希望、 相続後の管理方法まで整理することが重要です。

特に不動産は、簡単に分割できず、維持管理にも費用がかかります。 誰が取得するのかだけでなく、取得後に住むのか、貸すのか、 売却するのかまで話し合っておきましょう。

大切なのは、相続が発生してから急いで結論を出すことではなく、 元気なうちから情報を共有し、家族が納得できる準備を進めることです。

相続不動産の査定・売却でお悩みの方へ

相続予定の実家、相続した空き家、土地、貸家などについて、 現在の市場価格や売却方法が分からない場合は、 まず不動産の現状を確認することから始めましょう。

長野県内の相続不動産についてお困りの方は、
株式会社Be-Styleへご相談下さい。

相続不動産について相談する
主な確認資料
法務省「相続登記の申請義務化について」
法務省「相続人申告登記について」
法務省「自筆証書遺言書保管制度」
裁判所「相続の放棄の申述」
裁判所「遺産分割調停」
国税庁「相続税の申告と納税」

※本記事は一般的な情報の提供を目的としています。 個別の遺産分割、遺言、相続登記、相続税については、 弁護士、司法書士、税理士、公証人などの専門家へご確認ください。


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