
【2026年4月施行】不動産所有者の住所変更登記が義務化|期限・過料・手続きを解説
不動産所有者の「住所変更登記」が義務化
期限・過料・スマート変更登記・不動産売却前の注意点を分かりやすく解説します。
公開・更新日:2026年7月23日
2026年4月1日から、不動産の所有者が引っ越しなどで住所を変更した場合、 不動産登記簿の住所を変更する「住所変更登記」が義務化されました。
住民票の住所を変更しただけでは、不動産登記簿の住所は直ちには変わりません。 個人が「検索用情報の申出」をしてスマート変更登記の対象となっている場合などを除き、 原則として別途、住所変更登記の申請が必要です。長野県外へ転居した方、相続した実家や空き家を所有している方、 何年も前に購入した土地をそのまま保有している方は、登記簿上の住所が古いままになっていないか確認しておきましょう。
今回の義務化は住所だけでなく、結婚などによる氏名変更、 法人の名称や本店所在地の変更も対象です。
2年以内
対象
5万円以下の過料の可能性
過去の住所変更も対象です
義務化が始まった2026年4月1日以降に引っ越した人だけが対象ではありません。
2026年3月31日以前に住所を変更し、現在も登記簿が旧住所のままになっている場合は、 原則として2028年3月31日までに住所変更登記を行う必要があります。
たとえば、10年前に長野市から県外へ転居し、長野市内の土地や住宅をそのまま所有している場合も対象になり得ます。 「昔の住所変更だから関係ない」と判断するのは危険です。
過料は自動的に科されるわけではありません
期限を過ぎた瞬間に、直ちに5万円を支払うという制度ではありません。
登記官が義務違反を把握した場合、まず変更登記を行うよう催告します。 催告書に記載された期限内に登記や必要な申出がされず、登記をしないことについて正当な理由もない場合、 登記官が裁判所へ通知します。過料を科すかどうかと金額は裁判所が判断し、 上限は5万円です。
売却を急いでいるときに住所の履歴を証明する書類がそろわず、 予定どおり契約や決済を進められないこともあります。
住所変更登記が必要になりやすい方
- 自宅を購入した後に転居した
- 相続した実家、空き家、土地を保有している
- 転勤が多く、複数回住所を変更している
- 県外に住みながら長野県内の不動産を所有している
- 結婚や離婚などで氏名が変わった
- 会社名や本店所在地を変更した法人
- 近いうちに不動産の売却や贈与を予定している
特に複数回転居している場合、現在の住民票だけでは登記簿上の住所から現在の住所までのつながりを証明できないことがあります。 その場合、戸籍の附票など追加書類が必要になることがあります。
スマート変更登記とは?
住所変更登記の負担を軽くするため、「スマート変更登記」という仕組みも始まっています。
個人の所有者が、氏名、住所、生年月日などの検索用情報を事前に申し出ておくと、 法務局が住民基本台帳ネットワークの情報を確認し、本人の意思確認を行ったうえで、 住所や氏名の変更登記を職権で行う仕組みです。検索用情報の申出は無料です。
申し出る
情報を照合
意思確認
職権で変更登記
検索用情報の申出を済ませている場合、職権登記がまだ完了していないことは、 住所等変更登記をしないことについての「正当な理由」として扱われるため、 原則として過料の対象にはなりません。
個人・法人などで仕組みが異なります
| 国内に住所がある個人 | 「検索用情報の申出」によりスマート変更登記を利用できます。 職権登記の前に、原則として本人の意思確認があります。 |
|---|---|
| 会社法人等番号がある法人 | 不動産登記に会社法人等番号が登記されていれば、商業・法人登記との情報連携により、 原則として本人への意思確認を行わず職権登記されます。 |
| 海外居住者・会社法人等番号がない法人 | 法務局側で変更事実を確認できないため、住所・名称等に変更があったときは、 原則として自ら変更登記を申請する必要があります。 |
自分で申請する場合の主な準備
| 主な書類 | 登記申請書のほか、住所変更では住民票の写しや戸籍の附票など、 氏名変更では戸籍謄抄本など、変更の経緯を証明できる書類 |
|---|---|
| 申請先 | 対象不動産の所在地を管轄する法務局 |
| 登録免許税 | 原則として土地または建物1個につき1,000円 |
| 申請方法 | 窓口、郵送、オンライン申請。 通常の変更登記をオンライン申請する場合は、原則として電子証明書が必要です。 |
土地1筆と建物1棟であれば、登録免許税は通常2,000円です。 マンションは専有部分に加えて、敷地権の土地の数に応じて税額が増えることがあります。
司法書士へ依頼する場合は、登録免許税や証明書取得費用のほかに司法書士報酬が必要です。
不動産売却を考えている方は早めの確認を
不動産の売却では、売主の現在の住所・氏名と登記簿の記載が一致していることが重要です。 住所が一致していない場合、通常は住所変更登記を所有権移転登記と連件で申請するなど、 売主の現在住所までのつながりを登記上明らかにする必要があります。
売却相談を受けて登記簿を確認すると、購入時の住所のまま、相続登記時の住所のまま、 住居表示変更が反映されていないといったケースがあります。 決済直前に判明すると、必要書類の取得や司法書士との調整が追加で必要になります。
査定時に確認したい3項目
- 登記簿上の所有者名
- 登記簿上の住所
- 現在の住民票上の住所・氏名との一致
住所が異なるからといって、不動産を売却できないわけではありません。 しかし、住所変更の履歴が長い場合や、必要書類が保存期間の経過などで取得しにくい場合は、準備に時間がかかります。 売却時期が決まってからではなく、早めの確認が重要です。
よくある質問
- Q. 住民票を移せば登記簿も自動で変わりますか?
- A. 住民票を移しただけでは直ちに変わりません。国内居住の個人が検索用情報を申し出ている場合は、 法務局が定期的に変更を確認し、本人の了解を得たうえで職権登記する仕組みがあります。
- Q. 自宅以外の土地や空き家も対象ですか?
- A. 対象です。居住しているかどうかではなく、土地・建物の所有権登記名義人であるかによって判断されます。
- Q. 共有名義の場合はどうなりますか?
- A. 住所や氏名が変わった共有者ごとに対応が必要です。 共有者全員の住所が変わっていなければ、変更のあった共有者のみが対象です。
- Q. 住所変更登記をしないと売却できませんか?
- A. 売買契約自体が直ちにできなくなるわけではありませんが、 所有権移転登記の際には、通常、住所変更登記を連件で申請するなどの対応が必要です。 早めに司法書士や不動産会社へ相談してください。
まとめ
2026年4月1日から、不動産所有者の住所・氏名・名称の変更登記は法律上の義務となりました。 変更日から2年以内が原則で、施行前から変更していた場合も2028年3月31日までの対応が必要です。
重要なのは、過料だけを心配するのではなく、売却や相続整理をスムーズに進めるために、 登記情報を最新の状態にしておくことです。
「登記簿の住所が現在と同じか分からない」「相続した空き家を売却したい」 「県外に住んでいるが長野県内に土地がある」という方は、 売却査定とあわせて登記内容を確認しておきましょう。
参考資料
- 法務省「住所等変更登記の義務化特設ページ」
- 法務省「住所等変更登記の義務化について」
- 法務省「住所等変更登記の義務化に関するQ&A」
- 法務省「スマート変更登記のご利用方法」
- 法務局「不動産登記の申請書様式について」
※本記事は2026年7月23日現在の公表情報を基に作成した一般的な解説です。 個別案件の登記申請・法律判断については、管轄法務局または司法書士へご確認ください。
